ロボット産業は、急速な成長を見せている技術主導型の産業であり、近年著しい進歩を遂げています。 多くの自律型・認知型デバイスを生み出すイノベーションを推進する可能性を秘めていることで、ロボット技術は、医療、デジタル、製造業、サービス業など、幅広い業界に応用することができます。
現在、産業用ロボットの主要製造国は日本ですが、欧州が世界のロボット産業において強力なプレーヤーとして浮上してきており、現在のところ、世界のロボット市場の32%を占めています。そのなかでもドイツは間違いなくロボット工学におけるヨーロッパのリーダーであり、2020年だけで35億ドル以上の収益を上げています。世界のロボット市場は2022年までに347億ドルを生み出すと予測されていますが、欧州のロボット市場はこれまでのところ2021年上半期に32億ドルを超える収益を上げており、2021年から2025年の間にさらに15%の成長が見込まれています。
現在、産業用ロボットは世界市場の約3分の1を占めていますが、これよりはるかに規模の小さいプロフェッショナルサービスロボット市場でヨーロッパのメーカーは、世界の非軍事用ロボットの63%以上を生産しています。サービスロボットは、建設、医療、農業、防衛・安全保障など、さまざまな分野で活用されており、プロフェッショナルロボットとパーソナルロボットの両方の開発が欧州全域で急速に進んでいます。ヨーロッパのロボット工学の強みは、特にバリューチェーンに沿った学際的な広がりにあります。その一例として、Bristol Robotics Laboratoryが挙げられます。Bristol Robotics Laboratoryは、大学の総合的な研究力と産業界のトップレベルの専門知識の両方を活用して、英国が先進ロボット工学の世界的リーダーになるための取り組みを推進するユニークな共同研究です。
また、欧州の多くの国では高齢化が進んでいることから、医療用ロボットの技術革新と需要を後押ししており、2021年末までに22億ドル以上を生み出すことが見込まれています。また、医療用ロボットのマーケットリーダーとしてはドイツが確固たる地位を築いており、医療用ロボット市場の42%を占めています。Avatera社やMedineering社などのドイツのロボット企業は、外科用ロボットの分野で強力なマーケットプレーヤーとして台頭しており、臨床医が複雑な処置をより正確に、柔軟に、管理しながら行うことを可能にしています。これらのことは、欧州企業のみならず、様々な医療分野でグローバルなヘルスケアの革新と進歩を目指して欧州のロボット市場に参入しようとしている国際企業にとっても、ロボット技術革新の大きな可能性を浮き彫りにしています。