新型コロナウイルスが英国・欧州の自動車産業に及ぼす影響

欧州経済に大きく貢献している自動車産業は、2019年には6750億ユーロ以上の収益を生み出しています。EUは世界最大級の自動車メーカーの本拠地であり、自動車の研究開発に世界最大級の投資をしている地域でもあります。EUの自動車産業の世界的なリーダーシップと競争力をさらに強化するために、欧州委員会は他国との技術的な調和を強く支持しており、2019年には144億4000万ユーロ以上の研究開発資金を創出しました。

 

2020年に新型コロナウイルスが大流行する以前、EUの自動車産業は260万人以上の雇用を生み出し、EUの全製造業雇用の約8.5%を占める最大級に雇用を創出する業界でした。また、2019年にはEUの自動車産業だけでEU全体の付加価値の2.6%を占めていました。2020年初頭に新型コロナウイルスのパンデミックの第一波が発生して以来、自動車産業は最も大きな被害を受けた産業の一つであり、現在もその状況は続いています。2021年上半期、EUの自動車産業は360万台の生産損失を被り、全体で1000億ユーロを超える損失を累積しました。2020年9月末時点では、この生産損失は400万台を超えており、これは2020年のEUの自動車生産台数の22.3%以上に相当します。加えて、EUにおける自動車の需要は2019年と比較して28.8%減少しました。

 

自動車業界は多くの分野でまだ回復途上ですが、自動車の販売台数は2021年末までに約10%増加すると予測されています。運用レベルでは、新型コロナウイルスの世界的流行が、英国および欧州全体の自動車業界において特定の分野での開発を加速させました。2020年には、電気自動車の販売台数が43%と大幅に増加しました。また、自動車業界のオンライントラフィックが大幅に増加したほか、ビジネスパートナーや戦略的パートナーと協力するための相手先商標製品(OEM)のサポートも増えています。また、新型コロナウイルスの流行は、英国と欧州の自動車業界において、新技術を業務に取り入れるという組織的な変化を大きく後押ししています。また、2020年には、デジタルチャネルの活用、アッセイ展開の最適化を含む人工知能の製造への応用、ゼロベースの予算編成の導入などが急速に進んでいます。これらの傾向は、自動車産業が2020年のパンデミックの余波からさらに遠ざかるにつれて、継続することが強く予測されています。

筆者:
Anna Cranston

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